ステップバイステップ:米国永住権放棄の方法
米国永住権を放棄する決断は大きな一歩です。このブログでは、そのプロセスを詳しく解説し、必要な手続きや考慮すべき点を明確にします。

米国永住権を放棄する決断は大きな一歩です。このブログでは、そのプロセスを詳しく解説し、必要な手続きや考慮すべき点を明確にします。
永住権放棄の概要と基本的な理解
米国永住権放棄とは、アメリカ合衆国での永住権を自発的に放棄する手続きのことです。放棄することにより、米国への永住権を失い、その権利や特典を放棄することになります。永住権放棄の理由としては、別の国への移住や国籍の変更、税金や法的責任の回避、家族の事情などがあります。ただ単にカードが失効したら、永住権はなくなったと思うのは間違いです。永住権は、放棄をする決まった手続きがあるのです。永住権放棄を検討する際には、よく考え、法的助言を専門の弁護士から、受けることが重要です。
放棄手続きの事前準備
放棄する前の5年間の自身の税務コンプライアンスを確認しましょう。例えばFBARの提出、海外金融資産の開示(Form 8938)、所有海外企業の株式の開示(Form 5471)、海外からの遺産相続、贈与等(Form 3520)です。これは出国年の最後の税務申告で確認されて、この問いに対して’Yes’と回答できない場合は、出国税の支払い対象者になるからです。
もう少し細かく説明します。上記の確認は、永住権保持の期間が8年以上の方に限られます。8年に満たないかたは5年間のコンプライアンスを問われることはありません。また、出国税の支払いは、全員が支払いをするわけではなく、含み益が高額ある方や、適格退職年金の残高がある方などに限られます。
もし重大なコンプライアンスの問題がある方は、放棄の手続きのまえにその問題点の解決に着手して、できればその解決方法が完了していることが望ましいと思います。具体的には、IRSが定める救済措置などを利用します。
もうひとつの準備としては、米国に金融口座を残される意図がある場合は、事前にその金融機関に永住権放棄後も口座の維持ができるかを確認することです。もし維持できないとわかった際には、代わりの口座を見つける余裕があります。
実際の手続き:フォームI-407の提出
永住権放棄手続きを行うためには、いくつかの書類と条件を準備する必要があります。具体的な書類としては、フォームI-407(永住権放棄宣誓書)の提出が必要です。また、放棄手続きを行うためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 18歳以上であること
- 米国永住権を保有していること
- 合法的に米国に滞在していること
- 放棄の意思を真剣に持っていること
このフォームは、永住権を放棄する旨を宣誓するものであり、USCISにグリーンカードと一緒に提出します。フォームには個人情報や永住権情報、放棄の理由などを記入する必要があります。提出後、USCISがフォームを受理し、永住権放棄手続きが完了します。提出時が放棄日と見做されます。外国からの送付日、USCISへの到着日などを追跡できる方法で送りましょう。
放棄後の米国税務手続き
放棄の翌年に、通常の米国税務申告の締め切り日までにForm 1040-NR Dual Statusの申告書を提出します。また上記の8年の条件を満たす方は、Form 8854を提出します。以下が覚えていただきたい重要ポイントです。
- 夫婦合算申告はできずに、いわゆるMarried Filing Separateの申告を行う
- Form 8854も夫婦で二枚提出が必要
- 永住権放棄日の前日の純資産のリストを上記のForm 8854に記載する
もし米国に金融口座を残して、永住権を放棄する場合はForm W-8BENを残される金融機関に提出します。W-8BENは、IRSに提出するのではなく、金融機関に提出する点をお忘れなく。
米国源泉所得がない場合や、銀行口座、投資口座、ソーシャルセキュリティの口座がある場合は、一般的に日本に居住する場合は、もう翌年から米国での税務申告をする必要がありません。ただ、特例などもありますので、気を付けましょう。
永住権放棄に関するよくある質問と答え
Q: 永住権を放棄するとどのような特典が失われますか?
A: 永住権を放棄しても、日本人で日本の居住者は、米国での永住権や社会保障、メディケアなどの特典を失うことには、なりません。これは日米社会保障協定があるからです。
Q: 永住権放棄後、再び米国に入国することはできますか?
A: 永住権放棄後に再入国する場合は、非移民ビザやESTAなどのビザを取得する必要があります。I-407が受理されると、移民局では、あなたの身分は永住権者ではなくなります。
Q: 永住権放棄の手続きには費用がかかりますか?
A: 永住権放棄の手続きには費用がかかる場合がありますが、I-407自体は自分で記入できる比較的簡単なフォームです。税務申告はなかなか複雑ですので専門家に依頼されるのが一番良いと思います。
最後に永住権放棄は非常に重要な権利を放棄することです。専門の弁護士や税務の専門家とよく相談されてプロセスを進めましょう。一度放棄した永住権は簡単に再取得できません。