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グリーンカードを放棄して日本へ帰国する前に確認したいこと

グリーンカードを放棄して日本へ帰国する方に向け、Form I-407の提出、Form 8854、W-8BEN・W-8CE、米国の最終税務申告、銀行・社会保障の手続きを時系列で解説します。


グリーンカードを放棄して日本へ帰国する場合、「Form I-407を提出すればすべて終わり」と考えてしまうのは危険です。移民法上の手続、米国税務上の居住終了、銀行や証券会社への届出、社会保障へのアクセス、最終申告、そして将来の米国源泉所得まで、複数の手続が連動します。しかも、米国を実際に出国した日、Form I-407を提出した日、移民法上のステータスが終了した日、米国税務上のexpatriation dateが常に同じとは限りません。

本稿では、CHI Borderが作成した「Green Card Abandonment and Final U.S. Tax Checklist」をもとに、準備を時系列で整理します。目的は、読者が自分で結論を出すことではなく、移民法弁護士やクロスボーダー税務の専門家に相談するときに、必要な資料と質問を漏れなく準備できるようにすることです。

1.最初に決めるのは「提出日」ではなく全体のタイムライン

まず、予定している米国出国日、日本で生活を開始する日、Form I-407の提出予定日、米国資産の売却や移管の予定、退職金・年金・ストックオプション等の受取予定を一枚のタイムラインにします。日付の順番が変わるだけで、申告書の種類、所得の区分、源泉徴収、条約上の取扱いが変わる可能性があります。航空券、搭乗券、パスポートの出入国記録、賃貸借契約、引越し書類など、実際の移動を示す資料も保存してください。

この段階で、少なくとも移民法と国際税務の両方に相談するのが安全です。Form I-407は永住資格を自主的に放棄したことを記録する重要な書類です。一度提出した後の影響を、「カードを返すだけ」の事務手続として扱うべきではありません。また、配偶者も放棄する場合は、夫婦それぞれが別のForm I-407を作成・署名し、それぞれの提出記録を残す必要があります。

2.出国前に作る「デジタル避難経路」

海外移住後に困りやすいのは、書類そのものよりオンライン認証です。米国の携帯電話番号を解約した後、銀行、証券会社、IRS関連サービス、社会保障のアカウントに入れなくなるケースがあります。出国前に、各サービスの多要素認証を確認し、認証アプリ、セキュリティキー、バックアップコード、外国番号など、米国携帯電話以外の方法を設定しておきましょう。回復用メールアドレスも、勤務先ではなく長期間利用できる個人アドレスが安心です。

Social Security Administration(SSA)の「my Social Security」では、海外居住者向けにID.meを利用したアクセス方法が案内されています。現在のSSA案内と自分の状況を確認し、出国前にログイン、本人確認、受給記録やearnings historyの確認を済ませておくとよいでしょう。パスワードや社会保障番号を通常のメールや共有メモに保存せず、信頼できるパスワード管理方法を利用してください。

3.米国の銀行・証券口座は「そのまま使える」とは限らない

銀行や証券会社によって、海外住所の顧客を継続して受け入れるか、利用できる商品、本人確認方法、郵送先、取引制限は異なります。日本へ移住した後も口座を維持できるか、外国住所の登録が必要か、オンラインアクセスや送金に制限があるかを、各金融機関に直接確認してください。米国の友人や親族の住所を自分の恒久住所として残す方法は、本人確認、税務書類、規約の面で問題を生じる可能性があります。

併せて、預金、証券、IRA、401(k)、生命保険などの受取人指定を見直し、婚姻・離婚・家族構成の変化が反映されているか確認します。口座番号、担当部署、海外からの電話番号、セキュアメッセージの送信方法も一覧化しておくと、帰国後の手続がスムーズです。

4Form I-407の作成と提出で残すべき証拠

Form I-407は、必ずUSCISの公式サイトから現行版とinstructionsを取得してください。氏名、生年月日、外国住所などは旅券やグリーンカードと整合させ、放棄理由は短くても事実に即して記載します。提出方法や提出先、返却すべき移民書類は更新されることがあるため、過去のブログや古い様式だけを頼りにしないことが重要です。

グリーンカードを返却する場合は、表裏の鮮明なコピーを作成し、同封した書類の一覧を残します。カードが紛失・盗難・損傷している場合は、Form I-407の該当箇所と現行instructionsに従い、事情説明や警察記録など利用可能な証拠を準備します。署名前に、宣誓・認証、聴聞に関する記載を読み、未成年者や意思能力を欠く成人の代理署名では、親権・後見等の権限資料が必要か確認してください。

送付前に、署名済みForm I-407、添付資料、返却書類一覧を一式コピーします。追跡可能な方法で提出し、追跡番号、配達完了画面、USCISからのacknowledgementを保存します。夫婦分を一つの外袋で送る場合でも、内袋を明確に分け、各人の書類とカードが混在しないようにします。より確実な記録管理のため、別々の追跡可能なパッケージを検討してもよいでしょう。

5.税務上の「長期居住者」かを最初に確認する

グリーンカードを放棄した全員にForm 8854やexit taxが適用されるわけではありません。重要なのは、米国税法上のlong-term resident(長期居住者)に該当するかです。IRSのForm 8854 instructionsでは、原則として、居住終了年を含む直近15課税年度のうち少なくとも8年度でlawful permanent residentだった人を長期居住者と定義しています。ただし、租税条約に基づき外国居住者として扱われ、条約上の利益を放棄しなかった年度の数え方など、例外的な論点があります。単純に「グリーンカードを持っていた暦年」を自己判断で数えるのではなく、取得日、各年の申告、条約ポジションを専門家に提示してください。

長期居住者に該当する場合は、covered expatriateの判定が必要になります。一般に、対象年度の平均所得税額、expatriation date時点の純資産額、直前5年間の連邦税務義務を遵守したことの認証という複数のテストがあります。金額基準や控除額は年度により変わるため、本稿に固定額を転記するのではなく、実際のexpatriation yearに対応するForm 8854とinstructionsで確認することが大切です。

6.最終年の申告資料は「出国前」と「出国後」を分けて集める

税務担当者には、Form I-407の写し、配達証明、USCISの確認、実際の出国日を示す資料、直前5年間の連邦・州申告書を渡します。最終年については、W-2、Form 1099、Schedule K-1、事業所得、賃貸所得、利息・配当、譲渡、外国所得、年金などを、必要に応じて居住終了前後に分けて整理します。州税上の居住終了は連邦税や移民法とは別の基準を持つことがあるため、最後に居住した州も忘れずに確認してください。

Form 8854が必要な場合、資産と負債の一覧、時価、税務上のbasisを求められることがあります。不動産、上場株式、非上場会社持分、退職口座、保険、年金、ストックオプション、信託、負債を早めに洗い出してください。評価に時間がかかる資産があると、申告期限直前では対応できません。外国口座・外国資産についても、最終年のFBAR、Form 8938、PFIC、外国法人・信託報告等が残る可能性があります。

7.W-8BENとW-8CEを混同しない

この二つの様式は目的が異なります。Form W-8BENは、外国人である個人が、源泉徴収義務者に外国人ステータスや受益者性を証明し、該当する場合に租税条約上の軽減税率を主張するためのcertificateです。IRSへ直接送るものではなく、通常は銀行、証券会社、退職年金管理者など、要求した各payorに提出します。金融機関独自の代替様式を使う場合もあるため、公式Formと独自様式の両方を勝手に提出せず、相手の指示に従います。

W-8BENに署名する前に、その支払と年度について自分がU.S. personではなくforeign personとして扱われることを確認してください。外国税務識別番号(FTIN)の記載や条約適用は、日本の税務居住、支払の種類、金融機関の要求によって変わります。一般にForm W-8BENは、事情変更がなければ署名年の翌年から数えて3年目の暦年末まで有効とされますが、住所・税務居住地・ステータス等に変更があれば、所定期間内の通知と新しい様式が必要になることがあります。

一方、Form W-8CEは、単にグリーンカードを放棄したという理由だけで提出するものではありません。covered expatriateに該当し、一定の繰延報酬、指定税繰延口座、nongrantor trustの持分などがある場合に、該当payorへ通知する様式です。IRS instructionsでは、該当するW-8CEを、expatriation date後最初の分配日の前日またはexpatriation dateから30日後のいずれか早い日までにpayorへ提出するルールが示されています。対象項目とpayorを早めに特定し、条約上の権利放棄を含む効果を専門家と確認してください。

8.最終提出後も「永久保存ファイル」を作る

最終の連邦所得税申告書と、必要なForm 8854をレビューし、対象年度のinstructionsが求める添付・別送を確認します。州・地方申告、FBAR、Form 8938その他の国際情報申告、納税もそれぞれの期限に従います。支払確認、電子申告受領通知、郵送証明は、提出書類と一緒に保存してください。

保存ファイルには、少なくとも次の資料をまとめます。

  • 署名済みForm I-407、返却したグリーンカード等のコピー、追跡・配達記録、USCIS確認
  • 出国日と居住地の変更を示す旅行・住居資料
  • 最終年および直前5年の連邦・州申告書、Form 8854、国際情報申告、納税記録
  • W-8BEN、W-8CEその他の源泉徴収certificateと各payorへの提出証明
  • 資産評価、basis資料、年金・繰延報酬・信託関係書類、専門家からの重要な助言
  • 私の移民法上の放棄日と、連邦税務上のresidency termination date/expatriation dateはいつか。
  • 私はForm 8854上のlong-term residentに該当するか。covered expatriateの各テストに該当するか。
  • 最終年はどの申告書を使い、dual-status、租税条約、州税をどう扱うか。
  • 年金、401(k)、IRA、ストックオプション、信託等についてW-8CEや追加計算が必要か。
  • 各金融機関へW-8BENを提出できる時期と、条約上の軽減税率を主張できる所得は何か。
  • 後年のForm 8854、米国不動産、贈与・遺贈、米国源泉所得について継続義務があるか。
  • USCIS:Form I-407
  • IRS:Instructions for Form 8854
  • IRS:Expatriation Tax
  • IRS:Instructions for Form W-8BEN
  • IRS:About Form W-8CE
  • SSA:Service Around the World

covered expatriateで繰延税、eligible deferred compensation、nongrantor trustなどがある場合、後年にもForm 8854その他の報告が続くことがあります。また、米国不動産の売却、米国源泉所得の受領、米国人への贈与・遺贈を予定するときは、その取引前に新たな申告・源泉徴収を確認してください。グリーンカード放棄時のファイルは、将来の米国との取引で事実関係を説明する基礎資料になります。

9.専門家に相談するときの質問リスト

相談を効率よくするため、次の質問を事前に整理しておくとよいでしょう。

チェックリストは、完了・進行中・未着手・該当なしを記録し、各項目に担当者、期限、証拠の保存場所を加えると実務で使いやすくなります。移民法、税務、銀行実務を一人の専門家がすべて担当できるとは限りません。論点ごとに担当を明確にし、助言が矛盾する場合は、前提となる日付と事実を揃えて再確認してください。

公式情報(公開前に最新版を再確認)

免責事項:本稿は一般的な情報提供を目的とする編集用ドラフトであり、法律、移民、税務、投資その他の専門的助言ではありません。法令、様式、金額基準、期限、提出先および金融機関の取扱いは変更されることがあり、個別の事実によって結論も異なります。Form I-407の提出、申告、資産移転、源泉徴収certificateへの署名その他の行動を行う前に、対象年度の米国政府公式情報を確認し、資格を有する米国移民法およびクロスボーダー税務の専門家に個別に相談してください。CHI Borderは、本稿の正確性、完全性または最新性を保証せず、本稿への依拠により生じた行為、損失または不利益について責任を負いません。

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