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【完全ガイド】出国前に401(k)をIRAへロールオーバーしてはいけない理由|Exit Tax(出国税)の落とし穴とは?

出国前に401(k)をIRAへ移すのは危険? Exit Taxの落とし穴と安全な対策を専門家が徹底解説。知らないと数十万ドルの損失に。


アメリカから日本へ本帰国・出国を予定している方にとって、
401(k) や IRA といった退職口座の扱いは、節税・資産保全の観点から極めて重要なテーマです。

しかし、近年相談が急増しているのが、
「出国直前に401(k)をIRAへロールオーバーした結果、Exit Tax(出国税)が発生し、想定外の多額納税をすることになった」
というケースです。

本記事では、なぜ出国前の401(k) → IRA ロールオーバーが危険なのか?
出国税(IRC 877A)がどのように適用されるのか?
どうすれば不要な納税を避けられるのか?
を、経験豊富な国際税務の視点からわかりやすく解説します。


■ 401(k) から IRA へ移すと“Exit Taxの対象”になる理由

まず最も重要なポイントは、

401(k) は出国後も30%源泉徴収で税務処理が可能だが、
IRA は「個人口座扱い」のため、出国時点で “全額みなし課税” の対象になる

という決定的な違いです。

401(k) が有利な理由

  • 米国の金融機関が源泉徴収と管理を行える

  • 出国後に引き出しても 30%源泉で完結

  • 米国税金の支払いを繰延べできる

IRA が危険な理由

  • 個人口座であり、米国政府側が出国者から納税してもらうのが困難

  • 出国時に口座残高の“全額が課税対象”扱い

  • 申告義務が発生し、大きな税負担になりやすい

知らずにロールオーバーしてしまうと、
本来支払わなくてもよかった Exit Tax を負担する最悪の結果につながるのです。


■ 2008年に変わった Exit Tax:旧制度と現行制度(IRC 877A)の違い

出国税については、
2008年に「IRC 877A」が導入され、ルールが大きく変わりました。

2008年以前

  • 出国後10年間、米国に源泉税を支払う制度ー永住権を放棄しても10年間は納税義務があると聞くのは、この昔のルールがあるためです

  • 10年ルールは煩雑で、管理も不透明

2008年以降:現行の IRC 877A

  • 「みなし譲渡課税」制度へ変更ー10年間の納税義務はなくなりました

  • 出国時点で資産を売却したと“みなして”課税

  • IRA は“全額が対象”扱い

  • 401(k) には特別ルールがあり、適切な手続きで全額課税を回避できる

この改定により、
「出国前のロールオーバーが致命的な課税リスクになり得る」
という状況になったのです。


■ 実例:Aさんのケース — 401(k) を守るはずのロールオーバーが、50万ドル課税に

Aさんは出国1ヶ月前、ある業者の勧めで
401(k) → IRA へのロールオーバーを実行しました。

しかしそれが大きな落とし穴でした。

結果として、

Exit Tax により約50万ドルもの課税が発生。

原因は明確です。

IRA は Exit Tax の“みなし課税”対象であり、残高全額が課税扱いになるため。
401(k) のままなら、課税を先延ばしできた可能性が高かった。

国際税務に不慣れな一般業者から誤ったアドバイスを受け、
多額の損失につながってしまった典型例と言えるでしょう。


■ 出国前に必ずやるべき 3つのポイント

出国税の落とし穴を避けるために、
最低限、次の3つは必ず押さえる必要があります。

① 401(k) を IRA に移さない(特に出国前)

ロールオーバーは一見メリットがあるように見えますが、
Exit Tax との兼ね合いでは圧倒的に不利になるケースが多いです。

② W-8CE を 30日以内に提出する

提出期限を過ぎると、401(k) に関する特別ルールの適用ができず、
繰延できなくなります。

③ Exit Tax に詳しい専門家に相談する

米国・日本双方の税制を理解している専門家に相談することで、
不要な課税を避けられるだけでなく、最も税務効率の高い出口戦略を構築できます。

CHI Border は、こうした日米跨ぎの複雑なケースを多数サポートしています。


■ まとめ:出国前の1つの判断が、数十万ドルの差になる

退職口座の取り扱いは、
「出国後にどうするか」ではなく「出国前にどう準備するか」がすべてです。

401(k) のロールオーバーは、一般的には良い選択肢に見えますが、
出国前という特殊なタイミングに限っては非常に危険であることを
理解しておく必要があります。

もしあなたが本帰国・長期帰国を予定しているなら、
ぜひ早めに専門家へ相談を行い、最適なプランを立てましょう。


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**【免責事項(Disclaimer)】

本記事は一般的な教育目的の情報であり、税務・法律アドバイスではありません。
個々の状況によって適用されるルールや最適解は異なります。またこの記事では日本政府の課税については、カバーしておりません。
重要な判断を行う際は、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。

 

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