#二拠点生活税務

米国と日本の二拠点:クロスボーダー生活の税務ガイド

米国永住権者が日本と米国の二拠点生活を送る際の税務上の注意点と対策を徹底解説します。


An image of a person with a green card living a bicoastal lifestyle between Japan and the United States, with a focus on tax considerations and strategies.

米国永住権者が日本と米国の二拠点生活を送る際の税務上の注意点と対策を徹底解説します。

クロスボーダー生活を始める前に知っておくべき基本的な税務知識

クロスボーダー生活を開始する前に、国際税務の基本を理解することは非常に重要です。米国永住権者は、米国の市民と同様に、世界中の所得に対して米国への報告義務があります。これには、米国外で得た収入や、外国で保有する金融資産に関する情報が含まれます。つまり日本に住んでいても、この義務はなくなりません。

また、日本での滞在が一定期間を超えるたり、一定の要件を満たすと、日本の税務当局によって居住者と見なされ、全世界の所得に対しても日本の税金が課される可能性があります。したがって、二国間の税制の違いを理解し、適切な税務申告を行うことが必要です。

米国永住権者のための米国税法の概要と影響

米国永住権者は、米国の納税者として、米国内外の所得に関わらず、その全てをIRS(内国歳入庁)に報告する義務があります。これには、給与、利子、配当、賃貸収入、およびその他のすべての収入源が含まれます。また日本や米国以外の外国に保持している海外金融口座も報告しないといけません。こちらを怠ると大きなペナルティが課せられます。

米国では、外国税額控除や外国所得の除外といったメカニズムを通じて二重課税を避けるための規定がありますが、これらの規定を適用するためには正しい手続きを踏む必要があり、適切な税務計画が必須です。

読者に理解してもらいたいことは、外国税額控除で二重課税が完全に消去できるとはかぎらないことです。米国の外国税額控除は米国の税金が全世界所得と、外国所得の割合で按分されるという仕組みがあり、必ずしも二重課税は消去できません。

もうひとつ重要な米国のルールがあります。それは外国労務所得控除制度(Foreing Earned Income Exclusion)です。こちらは海外で獲得した一定額の労務所得までは、米国の課税対象から外すことができるというルールです。2024年度でこの金額は、$126,000です。

税法ではありませんが、永住権を維持しながら海外に出ていける期間は半年です。この半年を超えると永住権を放棄したとみなされ、米国帰国時の税関で足止めされることがあります。つまり永住権を維持していくためには、日本に半年以上滞在できないのです。もちろん例外はあります。Re-Entry Permitを取得することです。こちらは通常最高で2年、二回取得できるようです。つまり4年間ですね。詳しくは移民法の弁護士とご相談ください。

日本での所得とその税務処理:住民税と国税

日本での所得には、日本の住民税と国税の両方が適用されます。日本での居住状況によっては、日本で得た所得に対して、これらの税金の支払い義務が生じることがあります。

日本で税務居住者として分類される場合は、世界中の所得に対して日本の税金が課税される可能性があります。一方で、非居住者の場合は、日本国内で発生した所得にのみ税金が課されることになります。したがって、日本での税務状況を適切に管理することが、税金の負担を適正に保つ鍵となります。

住民票の取得は日本の税務上居住者と認定される際の一つの要件になります。しかし住民票の保持=日本の税務上の居住者ではありません。多くの事実を総合的に判断されるというのが筆者の理解です。その際のキーワードは、「生活の本拠」がどこにあるかです。

さて、永住者が日本の税務上の居住者と見做された場合は、日本とアメリカから全世界の所得に課税されてしまうという状況が発生してしまいます。

二国間税務条約とその活用方法

米国と日本の間には二国間税務条約が存在し、その目的は二重課税の回避と税務に関する協力を促進することにあります。この条約を活用することで、所得がどの国で課税されるべきか、また適切な税率はいくらかということを理解することができます。

しかし前述したように、完全に二重課税を避けることはできません。米国の外国税額控除を理解するために、もうひとつ重要なポイントは労働の提供した場所がその労務所得が属する国になるということです。理解が難しいかもしれませんが、いくら日本から給与を得ていても、アメリカにいた時の期間はアメリカから獲得した労務所得と見做されるのがその例になります。

条約の規定に基づく適切な控除や免除を受けるには、正確な申告と適時の手続きが要求されます。したがって、条約が提供する恩恵を最大限に受けるためには、税務専門家の助言を求めることが賢明です。

クロスボーダー生活における税務計画と節税対策

クロスボーダー生活を送る際には、税務計画が非常に重要です。米国と日本の税制の違いを理解し、それぞれの国の税務申告期限や要件を遵守することが必要です。

筆者の周りには、一年の間7ヶ月は米国で過ごし、残りの5ヶ月は日本で過ごす方が多いようです。つまりこれらの方は米国の税務申告は居住者として全世界の所得を報告して、日本では非居住者としての立場を維持して、申告はされないというスタイルだと思います。

節税対策としては、二国間税務条約の適用、外国税額控除の利用、退職口座の適切な活用、投資所得の管理など、さまざまな方法があります。これらの戦略を効果的に活用するためには、両国の税制に精通した税務アドバイザーと協力することが推奨されます。

最後の重要ポイント

筆者が考える忘れてはいけない二拠点生活の重要ポイントは、医療面のポイントです。まず健康保険が万が一の事態での医療関係の出費をカバーしているかです。なかには、米国に緊急搬送などが必要になる人もいるかもしれません。そんな事態での費用なども保険等でカバーしておきたいものです。

次に相続税対策と贈与税対策です。米国の相続税と贈与税は、米国の所得税と永住権者の居住地に関して異なった考え方をします。もし日本で上記の事態つまり、自身が亡くなったり、贈与が発生した場合は米国居住時とは異なった取り扱いになります。有利になる場合もありますが、不利になる場合もあります。この点を忘れないようにしましょう。さらに日本で万が一お亡くなりになった場合は、日本の相続税が課税されるかもしれません。こちらは筆者の知識の範囲を超えますが、日本の相続税が課税されるようになった場合は米国にある資産までその手が伸びる恐れがあります。もし健康に不安がある方が二拠点生活をしようとする場合はこの点を忘れないでください。

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