日米二重国籍保持者が直面する法的、社会的な課題と未来の展望について掘り下げます。
以下は、参議院の請願のサイトからの引用です。
「海外永住する日本人が増えているが、日本にも家族があり、将来日本に住む可能性も高いため、海外でも日本国民として生活している。欧米先進諸国の多くが重国籍を容認しているが、日本は移住一世の重国籍を認めていない。国民優先政策で様々な国籍制限を設ける国もあり、海外の日本国民の活動は大きく制限されている。やむを得ず外国に帰化し、日本旅券を使い続ければ、法律上は違法になる。外国に帰化する日本人は、日本に家族を残していても、日本の国籍を失う。世界的に重国籍容認国が増える中、移住二世の重国籍を事実上認め、一世の重国籍を禁止する日本の制度は、海外国民の活動の自由を阻み、国際的に誤解されて、国や国民が信用や財産を失う原因になっている。特に国際結婚家族は、居住国の市民権を取得しなければ、職業選択、不動産売買、相続税、年金受給、離婚などで著しく不利になる場合もある。移住一世の国際結婚者や長期永住者が居住国に帰化しても、重国籍者には許されない公職への就任や兵役従事の可能性は低く、外国旅券使用の必要性もなく、日本の法律に抵触する特権を行使することもない。外国国籍取得の時点で日本国籍を喪失すると規定する必要はない。また、海外の出生で外国国籍を取得し、日本国籍を留保している重国籍者は二二歳までに国籍選択が義務付けられているが、国籍選択の要求は当人や家族にとって非常に負担になる。日本国籍を放棄する人もあるが、外国国籍を選択しなければ事実上引き続き重国籍が容認されるため、期限を設ける意味がない。国籍選択の期限は日本国内の住民登録などで自然に行われる時まで延長を求める。多くの先進諸国や移民国が重国籍者を自国民として扱っている。各国との調整で二重の権利行使や義務回避をなくし、国民に対する明快な説明と、国際的な現状に合わせた公平な制度の見直しを求める。
ついては、次の事項について実現を図られたい。。。。」
日本は原則として二重国籍を認めていません。例外はありますが、以下が日本の法律です。以下も引用です。
「日本の国籍法は,単一国籍が原則ですから,外国の国籍と日本の国籍を有する人(重国籍者)は,その二重国籍になった時が20歳未満であれば22歳までに,20歳以降であればその時から2年以内に,どちらかの国籍を選択しなければなりません(国籍法14条1項)。選択しない場合は,日本の国籍を失うことがありますのでご注意願います。
重国籍になる例としては,外国での出生,外国人との婚姻,養子縁組等があります 。アメリカの場合,日本国民である父または母(あるいは父母)の子としてアメリカで生まれた子は日米の二重国籍となります(出生後3ヶ月以内に日本の役所(大使館,総領事館,本籍地役場)に出生届を行った場合)。
なお,自己の意思で米国市民権を取得した場合は,その時点で日本国籍を失いますので二重国籍とはなりません。例えば,米グリーンカード保持者が米国市民権を取得した場合は,米国市民権取得時点で日本国籍を自動的に喪失し二重国籍者ではありません(国籍喪失届を提出して下さい)。 」
日本の国籍が自動的に喪失されるとは明確に記載されていますね。
二重国籍は、両国間での移動の自由や教育、就労の機会を広げるなど、多くの利点をもたらします。また、異文化間の架け橋としての役割を果たし、国際的なビジネスや外交において重要なアセットとなり得ます。しかし、税金の問題や兵役義務、パスポートの更新時の複雑さなど、二重国籍は課題も抱えています。特にアメリカの市民であれば、世界中どこに住んでいても米国の税金を支払う義務があり、これが負担となることも少なくありません。
現在米国永住権を保持されている日本人で、米国から日本に永久帰国を考える人が多くなっています。その場合は殆どの方が米国永住権を放棄されるプロセスを踏まれます。しかし、このステップの落とし穴は、将来米国市民権を取得する権利を失うことなのです。米国市民権は通常は5年間の永住権の保持でアメリカでの居住が必要となります。もし永住権を放棄して米国市民になる資格を失ってしまったら大きな機会損失になるのではないでしょうか?
今年はドイツが法改正を行い二重国籍を制限していた法律を大きく変更して、トルコ系の人々にドイツの市民権を与える門戸を開きました。以下も記事を引用します。
「今年1月、ドイツで二重国籍を全面的に容認する法改正がされ大きな話題となった。これまでEU加盟国の出身者に認めていた制限を撤廃したかたちだ。ドイツの報道によると、「国籍の安売りだ」などの反対意見も多い中、外国人の労働力を確保するため舵を切ったという。。。」
参議院への請願に見られるように現在日本では「二重国籍」に関する議論が活発化している。欧米の影響を受けやすい日本、そしてドイツと同じように労働者不足に悩む日本が、ドイツのように二重国籍を認める国になるのかは大きな注目があつまります。また隠れ二重国籍者として日本には100万人規模が存在するという話も聞きます。
将来的には日米両国の法律や政策が二重国籍に関してどのように変化するかは、誰も明確に読むことはできません。しかし日本の法律に関しては、グローバル化が進む中で、より柔軟な国籍法の制定や二重国籍者の権利保護が議論される可能性があります。それは参議院の請願にも見られ、メディア、そして進行している裁判もあります。日本が直面している人口の高齢化の波の影響も無視できないでしょう。
個人としては、二重国籍の維持や放棄に関して、税金、兵役、教育、就労機会などの要因を慎重に考慮し、長期的な視点で最善の選択をする必要があります。
つまりもし日本の政府が法改正をして、日米の二重国籍を認めることになったら、あなたの二拠点生活がさらに理想に近くならないでしょうか? 税金面では米国には義務が引き続き発生しますが、それ以外ではあなたのクロスボーダー生活は大きな広がりが見込めるのではと思います。
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