CHI Border -Weekly Blog Update

83(b) Electionのメリット・デメリット

作成者: Koh Fujimoto-JPN|2024/09/17 17:41:49

83(b) Electionを選択することで得られる税制上の恩恵とそのリスクについて詳しく見ていきましょう。

83(b) Electionとは?

83(b) Electionとは、米国税法第83条(b)に基づく選択肢で、制約付き株式(リストリクテッド・ストック)を取得した際に、その株式の課税を取得時点に前倒しすることを選択することを指します。これにより、将来的な株式の価値上昇に伴う税金を避けることができます。多くのスタートアップ企業の場合は、Vesting Periodという一定の雇用期間を指定されて、その雇用期間を終了した時点で、株式を時価で取得でき、その際に通常の所得税を支払います。しかしこの選択をすると、その時期を待つことなく、現時点での市場価値を利用して税金を支払うことができます。

具体的には、株式を取得した時点での公正市場価値(FMV)に基づいて所得税を支払い、その後の価値上昇分については、株の販売時にキャピタルゲイン税の適用を受けることになります。通常の所得税率よりキャピタルゲイン税のほうが低く、有利な点を利用しています。

83(b) Electionのメリット

83(b) Electionの主なメリットは、株式の価値が将来的に大幅に上昇することを見込んでいる場合に、初期の低い価値で所得税を計算できる点です。これにより、将来的な大きな税負担を避けることができます。Vestingが終了時に支払う所得税の額は、将来の価値に連動しているために、高くなるわけです。

また、株式の価値が上昇した場合、その増加分はキャピタルゲインとみなされるため、販売時には、通常の所得税率よりも低い税率で課税されます。

83(b) Electionのデメリット

一方で、83(b) Electionにはいくつかのデメリットも存在します。まず、株式の価値が期待通りに上昇しなかった場合、または逆に下落した場合、初期に支払った税金が無駄になる可能性があります。ただし、価格が下落を予想して、スタートアップの企業に入社することはまずないはずです。

さらに、83(b) Electionを選択するためには、株式取得後30日以内にIRS(内国歳入庁)に対して適切な書類を提出する必要があり、この期限を過ぎると選択の権利を失います。

83(b) Electionを選択する際の注意点

83(b) Electionを選択する際には、まず株式の将来的な価値を慎重に予測することが重要です。短期間で価値が大きく変動する可能性がある場合は、選択のリスクを十分に理解しておく必要があります。

また、選択手続きには厳格な期限が設けられているため、取得後30日以内に必要な書類を提出することを忘れないようにしましょう。

83(b) Electionの手続き方法

83(b) Electionを選択するためには、まずIRSに対して書面で通知を行う必要があります。この通知書には、株式の取得日、株式の公正市場価値、取得者の氏名および住所などの情報を記載します。

通知書は株式取得後30日以内に提出しなければならず、さらにそのコピーを雇用主および所得税申告書にも添付する必要があります。